ただ人間の形をしているだけだ。身体だけがちゃんとしている。それだけで、僕たちは生きていける。整列するために生まれたので、心は隠しておく。奥深く奥深く奥深く脳髄の奥にでも眠らせておく。平穏でいられるのだ。こうしてさえいれば。本当に必要なものがどこにもないんじゃなくて、本当は必要なものはどこにもない。虫から見た僕らは、僕らからみた虫のようにのっぺらぼうの集まりに違いない。それでいい。
僕たちはきちんと歪である。例え奇妙でも何でも、こうして皆に合わせていれば僕たちはそれが普通なのだ。